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卒業生からのメッセージ

来訪記録128 〜16期生Nさん〜

4月16日の午後、16期生のNさんが来室されました。認知症関連の新着図書や雑誌をあれこれと読み比べしたり、病棟で事例研究をする後輩の指導に使えそうな本を選んだりしているうちに放課後になりました。その後、図書室にやってきた2年次生に聞かれるままにオススメの本を紹介したりして、図書室で3時間も過ごされました。


年に2,3回図書室を利用されるNさんが毎年記入してくださる「卒業生と在学生の交流ノート」、5回目となる今回は、Nさんが勤務する認知症病棟における最近のエピソードから得た学びをぎっしりと書いてくださいました。

Nさんからのメッセージ
 ある日の夜勤中、明け方に1人の患者さんがスタッフステーションに来られました。患者さんは今にも泣きそうな顔で「かわいそうなことをした。心の支えになると言われたので猫を3匹飼ったのですが、世話があんなに大変だとは思いませんでした。どうしよう…」と訴えられました。この患者さんはこれまでに猫を飼ったことはありません。夢でも見たのか、夢と現実がごちゃまぜになり混乱している状態でした。私は患者さんの話を聞いて”不安を取り除かないと再入眠することはできないな”と考えて「朝になったら猫好きの職員が来ますから、飼ってもらえるように頼んでみましょう」と提案しました。すると患者さんは一瞬ホッとした表情をされますが、また同じ訴えを繰り返されます。訴えのたびに同じ対応をするのですが、患者さんはどんどん涙目になっていきます。そうして私は、この患者さんは今すぐ誰かに「猫を飼ってあげよう」と言ってもらいたいのではないかという答えにたどり着きました。そこで、別のフロアで働く猫好きの職員に来てもらい事情を説明しました。その場の状況を察した職員が一言「私が3匹まとめて飼ってあげる!」と断言すると、みるみるうちに患者さんの表情が変わり、30分も繰り返された訴えが嘘のようになくなり、朝までぐっすりと眠ってくださいました。
 このエピソードから私が学んだことは2つあります。1つ目は、認知症患者さんとの関わりのなかで大切なことのひとつである「説得より、安心と納得が大切」ということです。私がはじめに行った対応は”なんとかこの場を乗り切ろう”との思いから「説得」を行っていたのでしょう、患者さんは「安心」を得られませんでした。後から来てくれた職員の一言は、患者さんに「安心」と「納得」を与えることができました。私は身をもって「説得は無意味、安心と納得が大切」だと再認識しました。
 2つ目は、「関わりの軸」をもつことです。「朝になったら…」では納得しない患者さんに対して、私は「私が飼う」ではなく「○○に頼んでみよう」で通しました。私が言うことを急に変えてしまったら患者さんを混乱させてしまうかも…という勘が働いたと今になって思います。認知症患者さんの混乱を最小限に抑えるためには考えの柔軟性も大切ですが、「関わりの軸」をもつことは大切だと思いました。

患者さんに寄り添った関わりが、患者さんの「安心」につながるというエピソードを紹介してくださいました。看護師10年目、認知症看護に携わるようになって9年目のNさんですが、認知症看護はとても奥深く、まだまだ学ぶことはたくさんあるようです。

下の写真中央がNさんです。今回の来訪で読み比べた本の中からオススメしたいという本を手に2年次生と一緒に撮影しました。
認知症の人の「食べられない」「食べたくない」解決できるケア
(枝広あや子[著],日総研出版,2016年)
患者さんへの看護はもちろんのこと後輩や看護学生の指導も熱心にしておられるNさん。次の来訪もお待ちしています。

2018年04月24日